軽くて硬く,耐食性に優れたセラミックスは,水を潤滑剤に極めて低い摩擦係数を与え,無潤滑でも金属では実現できない耐摩耗性を示します.それらの特性をいかしたトライボエレメントとしての実用化も着実に進んでおり,その範囲は,宇宙機器から海底探査機器そしてマイクロマシンの世界にも及んでいます.
 本研究会では,母材としてのセラミックスのみならずセラミックコーティングに代表されるハードコーティングにも着目し,これらのトライボロジーの基礎,これらの材料の開発動向,新しい応用に及ぶ最近の「研究の成果発表と討論及び最新技術の情報交換」が行われています.
研究会の発足
21世紀の「セラミックスのトライボロジー」
研究会の概要
研究会の発足
研究会の目標
21世紀のセラミックスのトライボロジー

 セラミックスは,20世紀における製造技術の進歩に伴い,硬くて,強くて,そして化学的に安定な材料として優れたトライボエレメントへの応用が期待される存在となりました.1980〜1990年代は,まさにトライボ材料としてのセラミックスの実用化が急速に進展した特筆すべき期間であったといえます.
 本研究会は,この期間にセラミックスのメーカーとユーザー,そして研究機関のメンバーにより,基礎から応用に及ぶ研究の成果発表・討論の場として発足しました.

研究会の概要
 20世紀後半において,トライボ材料としてのセラミックスの優れた特性が,明確に実証されてきました.「時に低摩擦を与え,時に非常に優れた耐摩耗性を示す.」このようなトライボ材料として期待される優れた特性の発現機構の解明とともに実用化も着実に進んできました. 
 
 セラミック工具は,従来の工具材より長寿命であり,さらに従来では不可能であったより過酷な切削条件で加工することを可能にしました.プロセスポンプの軸受へのセラミックスの導入は,プロセス流体そのものでの軸受部の潤滑を可能にするとともに,構造の簡素化と縮小化及び低騒音化を実現しました.

 ラリーカーやレーシングカーへ導入されたセラミックベアリングは,パリダカール・ラリーやエコマラソンレースでの優勝に大きく貢献したと言われています.これはセラミックベアリングの高剛性,軽量,低トルク,耐焼付き性とそれらの過酷環境下での信頼性を十分に保証する結果といえます.

 超音波リニアモータ型精密位置決めステージの摩擦駆動部へ導入されたセラミックスは,次世代の超LSI製造に対応可能な高精度位置決めを可能にし,ステージ全体の簡素化と小型化を実現しました.

 セラミクスのトライボエレメントへの導入は,単に長寿命を与えるトライボ材料と認識するに留まらず,従来存在し得なかった機械への変革をもたらします.このようなセラミックスのポテンシャルは, 20世紀に存在し得なかった新しい機械を創出する可能性を十分に有しています.従来の材料への置換ではなく,トライボ材料としてのセラミックのポテンシャルをいかんなく発揮させた機械こそ我々の望む21世紀の機械であす.そのような機械は,間違いなく21世紀に生まれる新しい産業の火付け役となると信じることが出来ます..

 セラミックスのトライボロジー研究会は,21世紀における新しい機械やトライボエレメントの創成のために,今後も技術と研究の成果発表及び討論の場として役割を果たしていく予定です.
「トライボロジー」を起点にした機械設計の構築こそ21世紀の学会活動として,本研究会の望むべき姿です.

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