「相対運動しながら相互作用を及ぼしあう表面及び それに関連する実際の問題を対象にする科学技術」    
                    
(by Prof. P. Jost, 1966)
これが「トライボロジー」 の言葉の定義です.
 少し平易かつ狭義に言えば,表面・接触・摩擦・摩耗・潤滑をキーワードとし,2つの物体の接触面に発生する摩擦や摩耗現象を解明するとともにそれらを制御するための技術を取り扱う学問といえます.
トライボロジー
-接触面の科学と技術-
1.身の回りのトライボロジー
   (快適な生活を支えるトライボロジー)


2.情報機器におけるトライボロジー
   (トライボロジー特性によって決定されている現代の情報機器の性能限界とそれを打ち破るための研究)

3.工学の立場におけるトライボロジーの意義
   (トライボロジーとはどんな科学技術か?)


4.機械設計におけるトライボロジーの意義
   (トライボロジーを考慮した機械設計)
 我々の身の回りは,「もの」と「もの」が「接触する場」であふれています.足と地面,指とマウス,お尻と椅子,コンピュータと机,椅子と床...これらはすべて,ホームページを作成している私の身近にある「2つのものが接触する場」です.もしそこに「摩擦がなかったら?」何が変わるでしょう?
 我々の身の回りには,無意識に摩擦を変化させている例がたくさんあります.本のページをめくる時,指を少しぬらします.床屋では,櫛を通す前に髪を濡らします.動きの渋い障子には,敷居に蝋を塗ります.どの程度の「摩擦」の変化が,何をもたらしているのでしょう?
 摩擦面では物が磨り減ります(摩耗といいます).服は襟や袖が綻びます.ネクタイは結び目部分が綻びます.靴は底が磨り減り溝が無くなります.自動車では,タイヤ,ワイパー,ブレーキパット,クラッチ...が磨り減ります.その結果,それぞれの機能は低下し,やがて交換が必要になります.もし「摩耗しなかったら?」生活費はどう変わるでしょう?
「摩擦と摩耗」は,空気や水のように身の回りに存在し,快適な生活の鍵を握っているのです.

以下に,いくつかの視点から(多少詳しい)トライボロジーの意義を示します.

トライボロジーは
快適な生活をするための鍵を握っています.
身の回りにおけるトライボロジーの存在とその影響力を十分に理解していると
より快適な生活,改善策を立てることができます.

 トライボロジーの応用範囲は,現代産業を支えるありとあらゆる工業分野のみならず人間の関節に代表される医療分野,地震の発生,地滑りに代表される自然分野から身近な生活にまで及びます.