「相対運動しながら相互作用を及ぼしあう表面及び それに関連する実際の問題を対象にする科学技術」    
                    
(by Prof. P. Jost, 1966)
これが「トライボロジー」 の言葉の定義です.
 少し平易かつ狭義に言えば,表面・接触・摩擦・摩耗・潤滑をキーワードとし,2つの物体の接触面に発生する摩擦や摩耗現象を解明するとともにそれらを制御するための技術を取り扱う学問といえます.
トライボロジー
-接触面の科学と技術-
1.身の回りのトライボロジー
   (快適な生活を支えるトライボロジー)


2.情報機器におけるトライボロジー
   (トライボロジー特性によって決定されている現代の情報機器の性能限界とそれを打ち破るための研究)

3.工学の立場におけるトライボロジーの意義
   (トライボロジーとはどんな科学技術か?)


4.機械設計におけるトライボロジーの意義
   (トライボロジーを考慮した機械設計)
 巨大な宇宙ステーションから微小なマイクロマシンまで, あらゆる機械の信頼性と耐久性,エネルギーとコストの 損失そして性能の限界は,多くの場合,機械に存在する 数多くの接触部(動く部分)の摩擦と摩耗に支配されて います.
 省資源・省エネルギーに貢献し,高信頼性・耐久性を保証し, 従来存在し得ない機能と性能を有する機械を設計するためには, 従来の「材料と形の設計」とともに 「表面と接触面の設計」が必要不可欠となります. そのための科学技術.それが「トライボロジー」なのです.

以下に,いくつかの視点から(多少詳しい)トライボロジーの意義を示します.
なぜなら,
機械の信頼性と耐久性を高める鍵は,接触面における摩擦と摩耗の制御技術だからです.
従来不可能であった多くの技術を可能にする鍵は,接触面における摩擦と摩耗の制御技術だからです.

トライボロジーは
機械に携わる者にとって「必須の学問」です.
機械におけるトライボロジーの意義とその重要性を十分に理解しなければ,
これからの機械設計はできません.

 トライボロジーの応用範囲は,現代産業を支えるありとあらゆる工業分野のみならず人間の関節に代表される医療分野,地震の発生,地滑りに代表される自然分野から身近な生活にまで及びます.物理学者Wolfgang Pauliが「神が物体を作り,悪魔が表面を作った」と評する表面同士の接触を扱い,そこで発生する摩擦と摩耗を制御するためには,物理学,化学,材料学,弾塑性学,破壊力学,流体力学,熱力学,医学,生物学など数多くの学問とトライボロジーが応用される分野の経験的知見が不可欠です.それ故,「トライボロジー」は,あらゆる分野の「基盤技術でありかつ学際的学問」として位置付けられています.